大拙と円了

鈴木大拙の著作は、旧仮名使いが読みづらいことを除けば、至って読みやすく楽しい。この人に出会えてよかった。

彼は個人を超えた超個人として生きていた人なのだろう。そこに、私は憧れる。自分の枠、自分としてしか生きられないことに行き詰まりを感じている私にとっての希望だ。

井上円了も「向上門」「向下門」について書いている。

井上円了の晩年の著作『奮闘哲学』には、哲学をこの日本で、とりわけ一般市民の日常生活において、どのようにして活かしうるかをめぐる奮闘が描かれている。円了は、哲学を二門に分け、物心相対の境遇から絶対の真域へと至る道を「哲学の向上門」、そこからふたたび相対の世界へと戻る道を「向下門」と名づける。「向上門が宇宙絶対の学ならば、向下門は人類社会の学である。向上門が絶対を考定する学ならば、向下門は人生を改善する学である。」と円了は書いている。

井上円了は、哲学を日本に根づかせるために哲学館を開設した。その後3度の世界旅行の経験から、広い世界に視野を広げうる人財の育成を目指した。哲学館は東洋大学と改められ、総合大学として発展している。とは言え、本学は建学の精神を忘れたわけではない。哲学を学ぶとは、たんに哲学史や哲学概念を学ぶだけではなく、それを現代に活かすことを含意する。本学は、2012年に創立125周年を記念した際、『哲学をしよう! 考えるヒント30』(大成出版社)という著書を編集・発行し、その英文タイトルである Living Philosophy! を提唱した。

https://www.toyo.ac.jp/site/enryo/91587.html