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読書の時間(恩田陸)

「小説以外」 恩田陸 新潮社 p.179より

読書とは、突き詰めていくと、孤独の喜びだと思う。
人は誰しも孤独だし、人は独りでは生きていけない。
矛盾してるけど、どちらも本当である。書物というのは、
この矛盾がそのまま形になったメディアだと思う。
読書という行為は孤独を強いるけど、独りではなしえない。
本を開いた瞬間から、そこには送り手と受け手がいて、
最後のページまで双方の共同作業が続いていくからである。
本は与えられても、読書は与えられない。
読書は限りなく能動的で、創造的な作業だからだ。
自分で本を選び、ページを開き、
文字を追って頭の中で世界を構築し、
その世界に対する評価を自分で決めなければならない
それは、群れることに慣れた頭には少々つらい。
しかし、読書がすばらしいのはそこから先だ。
独りで本と向き合い、自分が何者か考え始めた時から、
読者は世界と繋がることができる。
孤独であるということは、誰とでも出会えるということなのだ。