4月29日 緊張を強いられる時代



 新型インフルエンザのパンデミックレベルがフェーズ4になるやいなや、あらゆる変化が出てきた。テレビのニュース番組では、機内にものものしい装備の検疫官が乗り込み、検査をするようになった。その前日は、サーモグラフィーで人の体温を遠くから観察する程度だったというのに。mixiを見ていても、明らかに新型インフルエンザに関するタイトルがついた日記が増え、正しい情報と不確かな情報が飛び交っている。我が家もいそいそと、昨年末に購入していた備蓄品の荷を解き、消毒薬やマスクを取り出して準備を始めている。控えめではあるが、確実に臨戦態勢に近づいている。

 それにしても、ついこの間、リーマンショックの影響から全世界規模で未曾有の不況が始まり、派遣社員がクビを切られ、明日生きていくためにどうしたらいいか途方に暮れていたというのに、今度は新型インフルエンザに悩まされることになるとは。まったく、息をつく暇もないとはこのことだ。なんとか生き残りたいという想いは誰も同じだと思うが、そろそろこの緊張状態に耐えられなくなる人が出てくるのではないかと、毎日気が気ではない。自分を省みたって、そうだ。たいして大きい会社ではないが、それでも昨年来、経営者としての責任は両肩に重くのしかかってきて、ふと気を抜くと押しつぶされそうな気持ちになるというのに、この上、社員や家族の健康にも気を配ることなんて私にできるのだろうかと、たまに弱気になる。この私がそうなるぐらいだから、他の人はさぞかし苦しい思いをしているだろう。

 そんなことを考えながら、今日は車で10分ほどの距離にある相方の実家に行き、昼食を一緒に食べた。久しぶりにゆっくり話ができて、両親とも嬉しそうだった。おふたりとも、今は定年退職し、家でのんびり過ごしているとか。「年金ももらえるし、身体は元気だし、なんの心配もない」と、ふたりの笑顔が心強い。実家から戻る帰り道、ふと思い立って遠回りし、小石川植物園に立ち寄った。誰もいないかと思いきや、結構な人出で驚いた。そういえば、今日は緑の日だ。

 小石川植物園は、相方が小さい頃によく遊んだ場所だそうで、彼の説明を聞きながらあちこちめぐった。途中、歩き疲れて大きな石の上に腰掛けながら見上げた時、自分が青空と木々に囲まれていることに気づき、その美しさにうっとりした。こんな場所にいると、世間の騒ぎがまるでうそのように思えてくる。ここにこうして座ってさえいれば、平和なままずっと暮らしていけるような気になる。もちろん、そんなことはないのだけれど。

 不況にしたって、インフルエンザにしたって、同じこと。生き残るために何を準備すればいいか、どう対処すればいいかということに対しては、あらゆる情報が流れている。しかし、「どうすれば気持ちを楽に過ごせるか」という情報はさっぱりだ。でも、人はパンのみで生きるにあらず。いくら食料があって、身体が病魔に冒されていなくても、気持ちが疲れてしまえばダメになる。また、ストレスにさらされた状態の人間は、ウイルスにやられてしまう確率があがるという話も耳にする。少しでも気持ちを楽に、楽しく生きていくということが、どれほど大切なことか。こんな時代だからこそ、メンタルケアを重視する動きがあってもいいのに、と思う。

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