ヴォイス ~命なき者の声~

 ミステリものは確かに好きだけど、決して「殺し」が好きな訳ではない。命のやりとりの中に潜む、究極の感情(それは愛だったり、憎しみだったり)に、とても興味があるのだ。法廷物も、刑事物も好きだけど、実は検察医物(そんなジャンルあるのかな)も結構好きで、死体の「Help」という声を聞いて時間をさかのぼる「True」なんて海外ドラマにも、ずいぶんハマった覚えがある。

 この「ヴォイス」というドラマは、その日本版というと語弊があるかもしれないけれど、少し似た雰囲気がある。どちらも、死者の「伝えられなかった声」を伝えるために、主人公が奔走するというストーリーだ。ただ「ヴォイス」の主人公には、死者の声を実際に聞いたり、時間を遡ったりする特殊能力はない。ただ、「彼らが何故死ななければならなかったか」という事実に真摯に取り組み、その事実の中から彼らが残された者に送りたかったメッセージを伝えるために、検察医の範疇を越えて徹底的に調べ上げるのだ。

 第一回、第二回と見てみたが、どちらも殺人事件のように見えて、実は事故だったというところがなんともほっとする。やたらと刺激的でグロテスクな殺人が多いミステリドラマがあふれかえっている現代において、見終わったあとは気持ちがとても優しくなるという、とても珍しいドラマだ。ミステリなのに殺人犯がいないところもまた、新鮮かつ爽やかで。伝えたい声が「恨み」ではなく「愛」だという点も、また特別に心地いい。