今日の災難

お昼ごはんは外で食べようということになり、秋葉の某レストランに入った。茶碗蒸しと香の物がついた「二色○○御膳」というメニューを注文し、大変おいしくいただいた。

しかし、よく見るとお膳の中に茶碗蒸しがない。まだ作ってるのかなと思って待ってみたが、ごはんもおかずも残り少なくなってしまったので、通りすがりのウエイトレスさんに「茶碗蒸しはまだでしょうか」と聞いてみた。「え?何のメニューです?茶碗蒸しはついていましたっけ」というので、メニューを広げて「これ」と指差したところ、別のウエイトレスさんから「今、作ってます」とのお返事。「はい、では待ちます」とちんまり待っていたが、なかなか出てこない。

ほぼご飯が終わった頃、いよいよ「お待たせしました」と茶碗蒸し登場。実は私、茶碗蒸しが大好物なので、まさに涎をたらさんばかりの勢いでふたを開いた。しかしよっぽど慌てたのか、そこにはまったく固まっていない茶碗蒸しが。スプーンでかき混ぜてみたが、どうみてもこれは液体に違いない。まるでコンソメスープのようだった。悲しくなって、もう一度ウエイトレスさんを呼び止め、「これ、固まってないんですけど…」といってみたところ、「失礼しました!」といいながら、あっという間にその茶碗蒸しを奪って厨房に走っていってしまった。

呆然と待つこと、さらに十数分。さきほどのウエイトレスさんが、「茶碗蒸し、今作っておりますが、少し時間がかかりますのでお飲物をサービスします」と言いにきた。とっくに食事を終えた家族が暇そうにしているのを横目で見ながら、それでもやっぱり私は茶碗蒸しが食べたかったので、「では、コーラを」と伝えた。間もなく、コーラが届いた。一口飲んで、すぐにそのコーラを夫に渡した。なぜなら、そのコーラは、私の知っているコーラとは違う飲み物だったのだ。彼は、一口飲んで軽く吹き出した。「これ、気が抜けてる。しかもぬるい」。サービスでいただいたものとはいえ、気の抜けたコーラは甘いばかりで辛いことこの上なし。しかも、ぬるいときている。もしやクレーマーな我々に対する新手の嫌がらせだろうかと、思わず邪推してしまった。

お店に入ったのは12時半過ぎ頃だったと思うが、その頃すでに時計の針は2時近くを指していた。店の中の客は何度も入れ替わり、われわれだけ時間に取り残されたような有様。ウエイトレスさんたちも、あえて私たちのテーブルを見ないようにしている様子。テーブルの隣の通路を歩くときは、顔をそむけている。非常に居辛い雰囲気だ。暇を持て余す家族に申し訳なくて、夫にiPodを手渡した。「なかなか懐かしいゲームが入ってるのよ」。息子には、TungstenCを手渡した。「レースゲームはいってるから、これやってて」。

二人はすぐにゲームに夢中になった。こういう時に役立つから、やっぱりPDAって必要よね、とか一人で納得していていたら、やっと茶碗蒸しが届いた。「お待たせしました!」。ウエイトレスさんは、やたらと笑顔。おそるおそるふたをあけてみたら、今度はちゃんと固まっていた。大喜びしつつ、一気に平らげた。

茶碗蒸しはとっても美味しかったけど、じっくり味わう余裕はなかった。あっという間に器を空にして席を立ち、レジに急ぐ。店内の緊張した雰囲気は、一気に和らいだように見えた。おそらく我々は、あの時間、お店にとって大変な厄介者だったに違いない。クレーマーになりたくてクレーマーになった訳ではないけれど、クレーマーになるのって大変なエネルギーが必要だということがよくわかった。