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今日、父はゴルフに出かけた

6月に伴侶を失って以来、気落ちしていたこともあって、父はずっと大好きなゴルフに行けなかった。「ゴルフに行けるようになれば大丈夫」というのは、本人を含め、みなが感じていることだった。それで、時々さりげなく「そろそろゴルフにでも行ってきたら?」と声をかけてみたりしていたが、そのたびに彼は「まだそういう気にはなれない」と言っていた。

今朝、父の携帯に電話をかけたら、「ごめん、急にゴルフに行くことになったから」と。朝早く友達から誘いの電話があり、それを受けたのだそうだ。その方のお名前を聞くのを失念したが、本当にありがとう。これで父は、また一歩、日常に近づくことができるはず。

世界を創る力

母が亡くなった後、父は呆然としていた。母は、「家庭」という名の世界を自身の手で作り上げていた。母が亡くなると同時に、その世界は崩れた。つまり父は、伴侶を失うと同時に世界を失ったのだ。この先彼は、自分の手で新しい世界を作っていかなければならない。しかし、彼一人では難しい。

父の妹(つまり私の叔母)は、父の今後を思い、母の作った世界を再構築し始めた。遺品を整理し、父の私物を片付けて、使いやすいように再配置した。部屋や廊下を磨き上げ、壊れていた箇所を修理して、住みやすい家に変えていった。必要なものは全て買い揃え、その使い方を父に伝授した。

私は叔母の行動を見て、「これだけのことを父一人でやってのけるのは無理だ」と思った。まず、父にはそれをやるだけの気力がない。次に、どこから手をつければいいかわからない。そして、やり方がわからない。もし叔母の手助けがなければ、きっと父は再出発できなかっただろう。

母を亡くして2ヶ月。父は、叔母が整えた家の中で生きる力を取り戻し、新しい生活を始めた。私は2ヶ月間父と過ごしたが、叔母ほどは役に立たなかったと思う。叔母の働きに感謝すると共に、生きるためには世界を創る力、つまり「家事力」がどれほど大事なのかということがよくわかった。